刈り取られた麻束はすぐに蒸す作業に入ります。蒸す作業は茎から皮(繊維)を剥きとりやすくする目的があります。また栃木などの作付け量が非常に多い麻農家では、一度に皮を剥くことが困難なため麻蒸し作業をした後、天日に干し乾燥させ保存します。乾燥を早めたりカビの発生を防ぐ目的としても麻蒸し作業は重要であると思われます。
麻蒸し桶は高さ2〜3mと巨大で、取り扱いには知恵と工夫がみられます。地方によって、さまざまな方法がみられますがこちらの地方では天秤を組み、テコの力を利用して麻蒸し桶を操ります。文章での説明では分かりづらいのですが【故郷再現】で貴重な作業写真と共に分かりやすく解説されていますので紹介します。
麻蒸し桶が巨大ならば、蒸し釜も巨大であり各々の家で持つには大変であることから集落ごとの組で使用していました。こうした釜は「かま」「かまや」「麻蒸し場」などと呼ばれ、作業に必要な水や敷地の広さなどの立地条件が良い場所が選ばれました。こちらの地方では蒸した後すぐに水洗いし皮を剥くまで浸けておくので、やはり小川や谷水がある場所が良いとされたようです。
写真下は桶の中に麻の束を詰めるています。この写真からも分かるように非常に大きな「くど」で穴の直径は3尺高さも3尺(約1m)はあります。写真右は桶の中の麻が湯の中に落ちないように横木をしています。写真右下の桶の下には太縄が巻かれ湯気が逃げないように工夫がされています。
B桶を倒す(寝かす)
A桶を倒す(引く)
@桶を倒す(浮かす)
A桶が充分に浮くと、桶側の人は綱を引いて自分のほうにゆっくりと桶を倒します。
B桶を倒す(寝かす)
B桶を倒す(寝かす)
B右の人は桶が急に倒れないように天秤をゆっくり上げる。天秤操作と桶を綱で引き倒す人との呼吸があわないとうまくいきません。
麻を蒸す時間は量によって違いがありますが、写真の桶にいっぱいの麻を詰め込んで蒸すと一回に半日から一日かかったそうです。初めて蒸し始める組は釜の温度を上げ、湯を沸かしていると一昼夜ほどかかりました。次の組からは余熱が使えるので半日ほどで蒸しあげることができたようです。蒸し具合を確認し桶から取り出したらすぐに川に持っていき浸します。次に皮(繊維)をとる麻剥ぎへと進みます。
麻蒸しの桶は巨大なため、取り扱いには知恵と工夫がみられます。こちらの地方では天秤を組み、テコの力を利用して麻蒸し桶を操ります。三枚の写真から順を追って説明していきます。
@右の人は天秤を引いて桶を浮かす。桶側(支柱の裏)の人は桶の上部に付けられた取手に結んだ綱を持っています。