
火は風を誘い、風を切って神輿が揺れる。庄九郎川に二番手‐樹下の宮‐のしぶきが起きれば本町の若い衆によって照らされる麻のたいまつに暖かく迎えられます。川面が赤く乱れ輝き七基の神輿が無事に「お旅所」に収まったとき、もっとも民衆が神を身近に感じるのかもしれません。
湧き上がる歓声・若い衆の「うにょうおい!」の掛け声・ぶつかりあうエネルギー・夜空に舞う火の粉・・・
先人達が郷土の産土神によせた熱い信仰。共同体社会の精神的な支えであった民俗行事。月日が経ち、世の中が移り変わって心の過疎化をもたらした今日も、神様の霊験あずかって満たされた人々の流れがそれぞれの帰路に着く。明日からの心のよりどころを得た喜びを噛みしめながら・・・
熱を帯び何十人と肩を組んだ団が続々と「うにょうおい!」「にょうわい!」の勇ましい掛け声を参道に響かせる頃、祭礼事務所から拝殿まで祭主を導くように参道には幾百本の護衛たいまつ(麻たいまつ)に火が灯ります。飛び散る火の粉が地を這い、いやが上にも熱を増していきます。
午後0時、祭主は裃・袴姿で腰には太刀を差し、火の粉から足を守るため二重の草履に身をのせ、麻たいまつによる火の護衛を受けながら力強く大地を踏みつけます。後ろには氏子総代数十人が紋付袴・馬上提灯を手にして共をします。祭主の前は何人も横切ってはならなく祭主のまわりには親近者による護衛もつきます。
祭主の前に掲げる高張提灯の家紋が麻たいまつに煙り、行列が朱色の惣門をくぐり拝殿近くになると、高い歓声に吸い寄せられた祭主の足が止まり、一番手神輿(擬宝珠)‐牛尾の宮‐に一礼。と同時に「うぉー!」というどよめきが響き渡り大・中麻たいまつに先導され、湧き上がる歓声と炎の波に乗ってまっしぐらに参道を走り抜けます。
担ぎ手8人・手引き8人・神輿の前後に舵取り2人の18人の若者は全速力で観衆の前に神様を担ぎ出します。そして琵琶湖を連想させる「庄九郎川」を滑るように渡ります。この時、祭りは最高潮に達します。

庄九郎川で神輿を迎える麻たいまつ
朝渡御(あさとぎょ)を庄九郎川で待つ観衆の熱気、社殿前の広場では青竹で神輿をまねたものが景気よく爆竹音を響かせ勢いよく燃え盛る、一方、祭礼事務所からからは鎧・兜に太刀を腰に差し、旗さしものを背にしたいでたちの八人の武者の一団が拝殿前に似到着し祭りを見守ります。この頃神輿を担ぐ若い衆の白足袋には縄が結ばれ気合が入り一団と熱を帯びてきます。